ISOコンサルタント:トップ > ISO14001取得支援 > ISO14001:2015用語の解説
ISO14001:2015は、「付属書SL」に規定されている「共通用語」と環境固有の用語に基づいて策定されています。共通用語とは複数の規格において同じ概念で使用されている用語です。ISO14001:2015では定義された用語は20語から33語へと大幅に増えました。理由は、規格の重点を「パフォーマンス向上」へ転化したことです。 ISO14001:2015改定では様々な検討の過程を経て、まず概念区分として4つに分け、その中で「33」の用語を定義し、更にその中でEMSに固有した「13」の用語が定義されました。また、改定において旧規格で表現されていた、「監査員」、「予防処置(望ましくない影響を防止または低減する)」、「手順」の3つの用語が削除されています。
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3.1 組織及びリーダーシップ |
3.2 計画に関する用語 |
3.3 支援及び運用 |
3.4 パフォーマンス評価 |
3.1.1 マネジメントシステム |
3.2.1 環境 |
3.3.1 力量 |
3.4.1 監査 |
3.1.2 環境マネジメントシステム |
3.2.2 環境側面 |
3.3.2 文書化した情報 |
3.4.2 適合性 |
3.1.3 環境方針 |
3.2.3 環境状態 |
3.3.3 ライフサイクル |
3.4.3 不適合 |
3.1.4 組織 |
3.2.4 環境影響 |
3.3.4 外部委託する |
3.4.4 是正処置 |
3.1.5 トップマネジメント |
3.2.5 目的(目標) |
3.3.5 プロセス |
3.4.5 継続的改善 |
3.1.6 利害関係 |
3.2.6 環境目標 |
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3.4.6 有効性 |
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3.2.7 汚染の予防 |
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3.4.7 指標 |
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3.2.8 要求事項 |
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3.4.8 監視 |
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3.2.9 順守義務 |
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3.4.9 測定 |
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3.2.10 リスク |
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3.4.10 パフォーマンス |
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3.2.11 リスク及び機会 |
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3.4.11 環境パフォーマンス |
※ 黒字が共通用語、青字が環境マネジメントシステム固有に定義した用語になります。
【環境マネジメントシステム】
「マネジメントシステムの一部で,環境側面をマネジメントし,順守義務を満たし、リスク及び機会に取り組むために用いられるもの」と定義されています。IS14001:2004では「環境側面を管理するために用いられるもの」となっていましたが、EMS固有に「順守義務を満たす」と「リスク及び機会への取り組む」が追加され、EMSの主なテーマが3つに拡大されました。
【環境方針】
「トップマネジメントによって正式に表明された、環境パフォーマンスに関する組織の意図及び方向付け」と定義されており、「環境パフォーマンスに関する」を追加していますが、ISO14001:2015から解釈に変更はありません。
【環境】
「大気,水,土地,天然資源,植物,動物,人及びそれらの相互関係を含む,組織の活動をとりまくもの。
注記 1 “とりまくもの”は,組織内から,近隣地域,地方及び地球規模のシステムにまで広がり得る。
注記 2 “とりまくもの”は,生物多様性,生態系,気候又はその他の特性の観点から表されることもある。」
とあり、ISO14001:2004から解釈に変更はありません。注記2は新しく定義された「環境状態」や要求事項の中の「環境課題」の概念を理解する手引きとして追記されています。
【環境側面】
「環境と相互に作用する、又は相互に作用する可能性のある、組織の活動又は製品又はサービスの要素。
注記 1 環境側面は,環境影響をもたらす可能性がある。著しい環境側面は、一つ又は複数 の著しい環境影響を与える又は与える可能性がある。
注記 2 組織は,一つ又は複数の基準を適用して著しい環境側面を決定する。」
と定義されていますが、もともと理解することが難しい概念であり、表現が精微化され理解しやすくなっただけで、ISO14001:2015から解釈の変更はありません。また、注記2は要求事項で「著しさ」の基準が要求されるようになった事に対応しています。
【環境状態】
ISO14001:2015改定に伴い新たに追加された用語です。この用語は、改定に伴う「重要な変更点」の【対処すべき環境課題の拡大】(環境保護)において、組織と環境の関係を「双方向」でとらえるという概念に変更されたことで追加されました。要求事項を記述するうえで組織と影響しあう環境の対象を内容的・時間的に課題として特定する用語が必要になったためです。
定義は「ある特定の時点において決定される、環境の様相または特性」とされています。
【環境影響】
この定義は「環境側面」とセットであり、ISO14001:2015から解釈の変更はありません。定義は「有害か有益かを問わず,全体的に又は部分的に組織の環境側面から生じる,環境に対する変化。」とされています。
【環境目標】
ISO14001:2004では、JIS化において「objective」を「目的」、「target」を「目標」と和訳していました。しかし、この和約をそのままISO14001:2015にあてはめJIS化すると、環境目標がなくなり、要求事項の解釈がおかしくなってくるという現象がおこります。そこでISO14001:2015のJIS化においては「objective」を「目標」に変更することにしました。定義は「組織が設定する、環境方針と整合のとれた目標。」とされています。
また、「方針」とはトップマネジメントが正式に表明したEMSの進むべき方向を示した「羅針盤」の役割を果たし、「目標」とは方針に沿って活動し達成する目標を部門やプロセスに展開したものになります。
【汚染の予防】
「有害な環境影響を低減するために,様々な種類の汚染物質又は廃棄物の発生,排出又は放出を回避,低減又は管理するためのプロセス,操作,技法,材料,製品,サービス又はエネルギーを (個別に又は組み合わせて)使用すること。
注記 汚染の予防には,発生源の低減若しくは排除,プロセス,製品若しくはサービスの変更,資源の効率的な使用,代替材料及び代替エネルギーの利用,再利用,回収,リサイクル,再生又は 処理が含まれ得る。」
と定義されており、ISO14001:2004から解釈に変更はありません。
【順守義務】
「組織が順守しなければならない法的要求事項,及び組織が順守しなければならない又は順守することを選んだその他の要求事項。
注記 1 順守義務は,環境マネジメントシステムに関連している。
注記 2 順守義務は,適用される法律及び規制のような強制的な要求事項から生じる場合もあれば,組織及び業界の標準,契約関係,行動規範,コミュニティグループ又は非政府組織(NGO)との合意のような,自発的なコミットメントから生じる場合もある。」
と定義されています。
この用語は、ISO14001:2015において「要求事項」と「義務」を明確に区別する為に追記されました。ISO9001の「要求事項」と意味が異なるために明確に分けたという事です。用語自体は従来の「法的要求事項及び組織が同意するその他の要求事項」という表現が長い為簡素化したものになり、その意味は変わりません。
【リスク及び機会】
「リスク及び機会」はISO14001に限らず今回のISO共通テキスト採用及び用語の改定で新たに追加された用語の目玉の一つになります。
「潜在的で有害な影響(脅威)及び潜在的で有益な影響(機会)」と定義されており、組織と環境を対象とした脅威と機会という解釈になります。また、リスクとは従来の予防措置に変わるもので、予防処置は解釈の幅で誤解を招くことがあり、ISO14001:2015では削除されています。
【ライフサイクル】
「原材料の取得又は天然資源の産出から,終処分までを含む,連続的でかつ相互に関連する製品(又は サービス)システムの段階群。
注記 ライフサイクルの段階には,原材料の取得,設計,生産,輸送又は配送(提供),使用,使用後 の処理及び終処分が含まれる。
[JIS Q 14044:2010 の 3.1 を変更。“(又はサービス)”を追加し,文章構成を変更し,かつ,注記を追加 している。]」
ISO14001:2015で「ラウフサイクルの視点」という表現が使用される為、この用語の定義が加えられています。定義の内容は、注記の通り、「又はサービス」「使用後の処理」が追加されていますが、JIS Q 14044:2010の概念と一切変更はありません。
【指標】
「運用,マネジメント又は条件の状態又は状況の,測定可能な表現。
(ISO 14031:2013 の 3.15 参照)」
と定義されています。ISO14031:2013からの転記になりますが、測定可能とは「定量的」に限定されることはなく、「定性的」なものも含むこと意味しています。
【環境パフォーマンス】
「環境パフォーマンス(environmental performance) 環境側面のマネジメントに関連するパフォーマンス。
注記 環境マネジメントシステム(3.1.2)では,結果は,組織(3.1.4)の環境方針(3.1.3),環境目標 (3.2.6),又はその他の基準に対して,指標(3.4.7)を用いて測定可能である。」
と定義されています。
パフォーマンスは「測定可能な結果」になりますので、ISO14001:2004の定義と変わりません。
※ ISO14001:2015規格要求事項(2004年度版対比)はこちら
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